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赤ちゃんの通過儀礼(産飯、産湯、産着)

赤ちゃんが生まれると、健やかな成長を願う様々な伝統的な通過儀礼があります。まず、出産後すぐに「産飯」を産土神さまにお供えし誕生の報告を行い謝意を表します。生後三日目には「産湯」で赤ちゃんの体を清め、丈夫に育つよう祈って「産着」を着せます。

産飯(うぶめし)を産土神さまにお供えします

「産飯」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

昔は、出産時に行われる通過儀礼の一つだったのですが、病院・助産院などの施設で出産することが多い現代では、行う機会が減ったため、あまり耳にする機会はないかもしれませんね。

「産飯」とは、赤ちゃんが無事に生まれた事に感謝し、健やかな成長と幸せを願って、産土神さまにお供えするご飯です。「産立て飯(うぶたてめし)」とも言われています。

病院では、なかなか産飯を炊くことはできませんが、もし可能であれば、家族に頼んで自宅で炊いてもらい、家の神棚などに産飯をお供えしてもらうのも良いかもしれません。

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お供えのやりかた

赤ちゃんが生まれてすぐに一升のご飯を炊き、お母さんと赤ちゃんの二人分のご飯を茶碗に高く盛りつけます。

茶碗に盛られた二膳のご飯は、お母さんと赤ちゃんが寝ている部屋のたんすの上に置いて、産土神さまへのお供えとします。

このお供えをすることで、神さまに新たに子供が生まれた旨を報告し、謝意を表した事となります。

ご飯イラスト

なお地域によっては、神棚にお供えしたり、神社へお供えするという慣習もあります。

ちなみに産飯は、「一生に三度食べる高盛飯(たかもりめし)」の一つとされています。あと2回は、結婚における「夫婦固めの飯」とお葬式の「枕飯」です。

ご飯を多くの方に食べてもらいます

産飯の行事には、「一生食べ物に困りませんように」という願いが込められています。

炊くご飯の量が「一升」なのは、「一生」と掛けているからとされています。

お供え分のご飯を盛った後、かなりの量のご飯が残る訳ですが、残ったご飯は、お母さん、産婆さん、そして近所の女性や子ども達など、出来るだけ大勢の人に食べてもらうと、それだけご利益が高いと言われています。

ただし慣習としては、男性は「産の忌み」という出産にまつわる禁忌により、食べられません。

また、赤ちゃんはまだ食べられませんが、形式的に枕元にご飯を盛った茶碗を置いておきます。

産湯(うぶゆ)で無病息災を願いましょう

「産湯」というと、生まれた直後に浸かるお湯だと思わている方も多いですね。実は、私もそう思っていました。

お釈迦さまがお生まれになったときに、龍神が甘露を浴びせて産湯にしたという伝説などから考えて、てっきり生後初めての沐浴が産湯だと思っていたのです。

しかし、本当の産湯は、生まれてすぐに浸かるお湯ではなく、生後三日目に浸かるお湯なのだそうです。

生まれる前までいた世界から持って来た穢れ(けがれ)を払い、清めるといった意味を持ちます。

生後間もない赤ちゃん

赤ちゃんが丈夫に育ちますように。

産土神さまがお守りになっている土地の水を使って赤ちゃんを清める通過儀礼です。産子(うぶこ)となり、丈夫に育つとされています。

地域によっては、産湯に塩などを入れて、無病息災を願うところもあるようです。

ところで産後三日目というと、まだ病院等に入院中という方が大半ですよね。

入院施設や赤ちゃんの状態によって、実施するかしないか、やり方などは変わってきますが、年長者の方や助産師さんなど経験者や専門家の方たちのアドバイスをしっかり聞いて、赤ちゃんに気持ち良いと思ってもらえる産湯にしたいですね。

産着(うぶぎ)を着せます

産湯が終わった後に、赤ちゃんに着せる服が「産着」です。

産着の伝統は古く、平安時代には、生まれた時は白色の産着を着せて、七日目には色付きの着物を着せる、「色直し」という風習も生まれました。また江戸時代になると、麻模様の産着が広く使われるようになりました。

麻は虫がつかずに丈夫に育ち、成長も早い植物であることから、子どもの健康を願って麻模様が広まったのです。

模様の色は、魔除けの意味がある黄色の他にも、良縁に恵まれるよう願いをこめて女の子は赤色、「青は藍より出でて藍より青し」ということわざから男の子には青色を使うことがあります。

地域によっては魔除けのために、赤や黄色の無地の着物を着せるところがあります。

産着を着た赤ちゃんのイラスト

肌触りの良い素材を選びましょう

お母さんや先輩ママに相談しながら産着選びをするのは、妊娠中の「しあわせなひととき」と言えるかもしれませんね。

どのような色柄・デザインであったとしても、大切なことは肌触りの良い素材のものを選ぶことでしょう。

オーガニックなガーゼ素材など、肌触りが良くて負担がかかりにくいものが適しているとされています。繊細な赤ちゃんの肌を傷つけない高品質な素材のものを選びましょう。

私の知人にベビーを子育て中のママがいるのですが、初めての出産経験という事もあり、色々とバタバタしていて、産着の色柄にまで気が回らなかったそうです。なので、もし次の子どもを授かることがあれば、その子にはぜひ、伝統的な「麻模様の産着」を着せてあげたいそうです。

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By Happie (Updated )

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